高度な専門化が進んでいるのが医療業界の現場であり、その影響は診断や治療を担う医師だけに留まっていません。
看護においても高い専門性を要求される傾向が強くなっています。
がんや生活習慣病、認知症などのように治療が難しい病気が多くなり、QOLを考えた看護計画の立案と実施や個々の患者に合わせたオーダーメイドの看護の必要性も高騰しているのが現状です。
ナースの教育制度の方向性も広く看護を担える人材を育成するのに比べて、特定の分野における看護の担い手の輩出を目指した専門化が進められています。
ただ看護を担えるスキルを持っているだけでなく、専門領域で必要とされる医療知識も兼ね備えていなければならないという認識が広まっていて、教育内容としても医学に関するものが組み込まれているのが通常です。
病院として全ナースに向けて統一して行う教育よりも、個々の診療科の事情に合わせて専門性の高い指導を行う教育制度が確立されるようになってきています。
外部に目を向けても同様の状況があり、各種セミナーも特定の領域に絞り込んで深く掘り下げ、具体的に現場で活用できるスキルの伝授やケーススタディを重視するのが通例です。
そのような専門化を行わなければナースが治療に当たることができない症例が増えているからであり、少しでも有能で専門性の高い人材を増やすことによって患者の満足を得られる医療体制を整えようという方向性で教育が進められてきています。